Guns N' Roses / Appetite for Distruction (1987)


先月のMen's Non-Noに春ファッションでロックが云々っていう記事がありましたが、なんでロックって言うと「皮ジャン」「長髪」「胸毛」「ドクロ」なのかと気分悪くなるんですよね。まあ、ハードロックとパンクが合わさったものなんでしょうけど、世間のロックに対するイメージていうのは、大体そんなものらしい。
ハードロックはヤードバーズ出身の3大ギタリストが生み出したようなもので、CreamのEric Claptonが発明し、Jeff Beckが発展させ、結果的にはJimmy PageがLed Zepperinで完成させるというのが大まかな流れ。70年代には他にもDeep PurpleQueenAC/DC、Kissとかもいて、もう一大潮流となるんですけど、パンクが敵にしたのは、言うまでもなくプログレとハードロックで、彼らには保守的な馬鹿にしか見えなかったわけですが、でも、売れていたのは圧倒的にハードロック。だから、世間のイメージがロック=ハードロックっていうのは仕方ないことなんでしょう。
パンク以降の80年代っていうのは、今の音楽にとっても大きなもので、テクノもヒップホップもレゲエも、New Wave期に新たな音楽として認識されていくのですが、でも、売れていたのはまったく別のものなんです。
そういう意味じゃ、このガンズは80年代の後半を象徴するグループだし、たった3枚しかアルバムが無いのに、すべて1000万枚以上売ったというのは社会的影響力を考えれば無視できません。彼らはハードロックというよりメタルですけど、まあ同じ流れと言っても構わないと思う。
はっきり言って、私にはガンズのボーカル、アクセル・ローズなんて大馬鹿にしか思えないし、オルタナティブ以降のロックが好きな人にはそう考える人が多いんです。人種差別的な発言とか平気でするし、ある意味、現在のエミネム並みに阿呆だと思います。でも、無視してしまうのはどうかと思うんですよね。社会には「ロック=うるさい音楽」という認識があるし、NirvanaPearl Jamみたいなグランジがあれほど売れたのにも、そういう認識が関わっているのは絶対でしょう。物凄く知的なManic Street Preachersが、影響を受けたバンドとしてPublic Enemyとガンズを挙げていたのは、結構考えさせるものがあります。
ガンズのこの1stに渦巻くエネルギーみたいなものは半端じゃなく凄いものだし、何より曲が良い。96年に脱退してしまったスラッシュのギターも強烈。やはり世界中でロックのイメージを作り上げるだけの影響力は作品自体が持ってると思う。最初は大嫌いだったけど、このエネルギーは否定しようがないです。
この人達にはどうしてもアンビヴァレンツな感情を抱えてしまいますけど、自分が変に偏らないためにも書いてみました。
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