The Mama's & the Papa's / If You Can Believe Your Eyes & Ears (1966)


実は私が持ってるのは彼らのベストなんですけど、廃盤のようなのでこの1stを。まあ、大事なのは、誰でも聞いたことがありそうな「夢のカリフォルニア」が入ってるってことなんです。
彼らは男2女2の4人組で、メンバーは楽器をほとんど弾きません。ビーチボーイズ(彼らは楽器弾きますが)のように美しいコーラスを聞かせるグループ。ジャンルに入れれば、フォークロックやソフトロックになるんでしょうが、そういうつまらない分類は要らないかな。
メンバーのJohn Phillipsが作曲した「夢のカリフォルニア」は、意訳すれば「葉っぱは茶色、空は灰色、僕は冬の空の下を散歩している。でも、もしここがロサンゼルスなら、暖かくて幸せなんだろうな」っていう、本当に「夢のカリフォルニア」を歌ってる曲です。
その頃のカリフォルニアには、ビーチボーイズもいたし、楽しい曲から幸せなイメージをたくさん作っていました。ヴェトナム反戦運動が高まったり、ヒッピームーブメントが盛り上がるにつれて、多くの若者がカリフォルニアを夢見ていた。そんな感情を歌った曲なんです。ちなみに、スコット・マッケンジーの名曲「花のサンフランシスコ」もジョンの作曲です。
ママス&パパスは68年に解散したので、フラワー・ムーブメントと呼ばれたそれがだんだん幻想だったことが分かってくる70年ごろには、その姿を消していました。
私には、この曲とセットになっている曲があります。それは75年に発表されたThe Eaglesの「ホテル・カリフォルニア」で、そこには幻想のカリフォルニアが描かれています。同じカリフォルニアを歌ったこの二つの曲の間にロックの黄金時代でもあった60年代、70年代の夢があるように思えてならない。

私は子供の頃にカリフォルニアに行ったことがあって、ロサンゼルスがとても怖い街だったことが印象に残っています。
イーグルスの名曲の後に、カリフォルニアを背負ったバンドがVan Halen、そしてGuns N' Rosesだったことを考えると、もうそこには夢の欠片さえ残ってなかったんだな、と感傷的になってしまう。
ASIN:B0000062XR