Smashing Pumpkins / Siamese Dream (1993)

julien2004-02-25


「はじけるカボチャ」。中心人物のBilly Corganが夢のなかで聞いたジョー・ストラマーへの「悪口」、それがこの変わったバンド名の由来。
謎なのは、私は彼らのアルバムを全部持ってるのに、聞きまくったのはこれと1stくらいしか無いってことだ。大好きなバンドって言った記憶もない。でも、忘れられないんだよね。なぜだろう。
グランジとして今もカテゴライズされる彼らだけど、ビリーはずっとグランジに対して不信感を持っていた。でも、音には共通点はあると思う。ただ、彼は認めなかった。それは真似してるように思われるのが嫌だったからだろうけど、おんなじ何かをカートたちと共有してたってこと-だって同じ時代の空気を吸ってたんだよ-を楽に考えれば、彼はこんなに苦しまなくても済んだんじゃないかと思う。雑誌にこのアルバム前のインタビューがあって読んだ。そこで彼はグランジなんて過去の音楽の焼き直しで、新しいものなんて少しもないんだ、って強調してた。でも、グランジは新しかった。音に沁みこんでる何かが、決定的に新しかったと思う。少なくともあれを聞いていた人達にはリアルな何かを伝えられるような、そういう音楽だった。
強烈なメンバーを抱えていたのに、途中からどんどんビリーのワンマンバンドになっていくスマパン見てるのは辛かったし、数百万枚売って、彼らの名を不動のものにしたアルバム『Mellon Collie and the Infinite Sadness』はどこか悲劇的な感じがして好きじゃない。(浜あゆはこのタイトルをパロったシングルを出してるけど。)
ニルヴァーナで有名なButch Vigプロデュースのこの2ndは、不器用だけど必死に愛を求めてるビリーの姿がいちばん自然に出てて、私は好きだ。どこかスミスのモリッシーとビリーって被るんだよね。寂しがりやなのに不器用で、うまく自分を表現できないっていうか、その点、モリッシーはそういう自分を笑い飛ばせる余裕があるんだな。必死なビリーを見るのは結構辛かった。


彼らが解散した時、私はシンデレラのように、時間が過ぎたらカボチャに戻ってしまった馬車を見て結構愕然としたものだった。
悲劇のバンド、なんて形で残るのは,彼らにはふさわしくなかったと思う。
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