あさきゆめみし

julien2003-10-19

星は雲の間から、一瞬だけ見ることができた。
あの声が猟奇的な彼女を連れ戻すんだわ。
でも、こんな日に黒い雲。嵐の前触れなんだろうか?時に嵐は、後に束ねた髪や魔女のように突き出たアゴ先から生まれたりするから。


雲は流れるようにフォレットからラフォーレへ。前にギャップがあるのが黒い笑いを誘う。


星が消えると、あとには美しい悪魔が一人現れた。でも、彼女もやがて手を引かれて消えて行く。地下の世界にも光はあるのかしら?

気付けば、もう雲一つない青空。嵐は銀座方面で起きる予感。

それにしても、ここを歩けばあちらこちらで悪魔が笑ってる。でも、そんな醜い悪魔に惑うほど、私は飢えていないわ。勿論どこかは乾いてるけれど。
憂ゐの奥山を越えて、昼過ぎのギムレットを喧騒から離れた処で。でも、酔ひもせず。ん。


あそこの橋の上には騒音と騒女。
あ、足下が似てるくらいで、一緒に見られるのは迷惑。


夕方になって、神の住まう場所から離れ、谷底のほうへ向かう。
途中の茶屋ではお菓子、そして黒いお茶。
隣の黒い旅人は、鏡を見て笑う。それを見て友人もワラう。

黒いもの。濁ることのない黒。
それは時にカリスマを生んだりするけれど、いつだって色彩を殺してしまう。モノクローム越しに眺めるこの街は、いつもと違って寂しげだった。