Gustave Moreau 1826〜1898

時々ですが、好きなアーティストの紹介をしていこうと思います。自分のためにですが。

モローは世紀末的雰囲気を湛えた画風の故に、象徴主義として扱われることが少なくないのですが、それは彼の意思に背くことになるので、私はそのようには受け取りません。
見ていただければすぐに分かると思いますが、彼の絵は一目見ただけで彼の作品だと分からせるほどの個性があります。
伝統的なものによりながらで、恐るべき前衛性を持ち得た奇跡の画家とも呼べます。彼が愛し、同じように彼を愛した弟子達のなかに、ルオーとマティスが含まれていたことに、その何よりの証拠があると思う。
真の前衛とは、伝統を踏まえたところにしか存在しないということでしょうか。
彼の絵にある異国趣味に、帝国主義の影響を見ることはできるでしょう。ここにも侵略と文化交流が深いつながりをもつことが確認できます。けれど、そんな話は無粋ですね。

彼を語ったルドンの言葉があります。
「これが真の創造である。彼は古いブドウ園から新しいワインを生み出した」
「新しいワイン」。しかし、これがすぐに多くの人々にとって美味であったわけではないことは、歴史によくあるお話ですが。

彼の作品中の白眉は、サロメを描いた"L`Aparition"(邦題は『出現』)です。