ポップス奥の細道 〜十八日目

年代順に書いている(加えて曲に番号をふっている)あだか、これを抜かしてしまったか・・というのが時々あります。いつか自分のHPでも作る機会でもあれば、改定して載せようと思いますが、訪れ損ねたがもう後戻りできない旅路のようなもので。
あと、55年以前のはプレ・オールディーズとしていつかやりたいなと思いつつ、まともなガイド本もない状況で、ジュディ・ガーランドローズマリー・クルーニーハンク・ウィリアムスなども紹介したいのですが、自分が最低限レベルに到達せずにどうも無理そうですね。まあ、僕の感性や趣向っていうのは「広く浅く」なのでどうでもいいのかもしれないけれど。
でも、そのせいか、クラブなんかでマイナーな曲ばかりDJがかけて、ありがたがっているのは馬鹿にしか見えなくて辛い。「俺はこんなの知ってるぞ、他の人とは違うぞ」って、おい、自己満で終わりかよ、楽しんでるのお前だけだぞ、と反発憶えること多し。どうも「有名曲」「ポップ・ソング」っていうのはダメらしいんですね。それとも感性が皆さん特殊なのかしら。で、コロニー内での小さなコミュニケーションで閉じている。ヒキコモリと変わりません。そのせいでクラブは恐い、とか、行きにくい、とかそうなってしまう。
まあ、実は「広く浅く」の方が、個性化進みすぎな社会では実は深みがない、とか、寝無し草扱いされたりしてそれなりにたいへんなんです。が、僕は大切だと思う。コミュニケーションの基本はここからしか始まらないんではと。ただし「広く」は半端なしに徹底させますね。

とりあえずオールディーズを聞いている人はどうも年配の方が多く(リアルで聞いてた方なんだから当然でしょうが)、リバティーンズ聞きながら併聴してるのは日本では僕くらいなのかもしれません。ただ、目的としては自分自身がもっと聞きたいっていう欲求自足が50%、ますます聞く人が減るだろうからとりあえず自分は知っておこうという保護活動が40%、誰かは聞いてくれるかなという布教目的が10%といったところです。
収穫としては、やはりその後の音楽がより深く聞けるようになったということに尽きます。黒白関係なし。今後70年代以降のブラック・ミュージクを聞いていくのが楽しみでしょうがない。他にも、色々な時代の様々な感覚が分かったように思えることも大きいかな。
というわけで、ようやく100曲超えました。

099 Jackie Wilson / "Night" (1960)

100 Jackie Wilson / "Baby Workout" (1963)


今日は初期のシカゴ・ソウルから二人。
まず大スター、ジャッキー・ウィルソン。プレスリーが黒人の真似してオリジナルになってしまったとしたら、こっちは彼がイメージして目指したような黒人ならではの凄い歌、歌いっぷり。ソウルだとか分類以前にこれぞロックンロールって感じ。最高です。
この人のデビューは18歳の時だったそうですが、仕掛人は後のモータウン社長ベリー・ゴディJr。もちろん設立前なわけですが、あの強烈極まりないビートは、こういった歌唱をベースにしてるんでしょう。モータウンならヴァンデラスのような。
その後ゴーディと別れた彼は、099でメロウなバラードを歌って大ヒット。ここに載せてませんが同年の"Doggin' Around"とこれは素晴らしい曲。今でもある現象ですが、キッズ向けにガンガン歌ってた歌手が、歌唱力あるんだぞってことを大人に見せるためにバラード歌うというやつです。タイトルでもそれが明白。「夜」なんて、曲そのまんまです。ただ、これが名唱なんだから文句もない。
100は初期の彼が憑依したような感じ。ヴァンデラスの「ダンシング・イン・ザ・ストリート」に通じるこの感覚。タイトルの意味深なとことか含めてこれは強烈。うーん、本当にかっこいいわぁ。

101 Jerry Butler / "He Will Break Your Heart" (1960)

102 Jerry Butler / "Make It Easy On Yourself" (1962)


バラードを歌わせたら最高レベルなジェリー・バトラー。彼は、ソロ転向前にあのカーティス・メイフィールドとインプレッションズを結成したカーティスの盟友。というより、インプレッションズは彼が中心になってわけで、R&Bシンガーとしてはすでに凄かったわけです。
特徴は、ポップでメロディアスなバラードを歌うこと。歌手としての表現力も言うまでもなく絶品で、101と102では別人が歌ってるようにしか聞こえない。曲ごとに最高の表現をできる凄まじい歌手なんでしょう。
101はいかにもこの時代のポップなR&B。「彼は君を傷つけた」なんて、デル・シャノンの「花咲く街角」と同じテーマですが、こういう片想いの感情もいいですね。ほら、僕がいるじゃない?、って、そういう気持ち。
102はバート・バカラック作曲の超超名曲。個人的に65年のウォーカー・ブラザーズ版が大好きなのでオリジナル聞けて感動しました。男ならしびれるしかないこのハードボイルドな叙情、余韻。ジェリーのボーカルもたまらない。なんて最高の曲なんだろうか。
ちなみにウォーカーズ版は、歌唱法もアレンジもほとんどオリジナルのままなんですね。まあスコット・ウォーカー絶唱するラストは壮絶ですが。他にも、アイズレー・ブラザーズディオンヌ・ワーウィックなどカバー多数。