Elvis Presley / Elvis 56 (1956)


こんなのあったのかという編集盤。タイトル通りに1956年にエルヴィスが発表した曲がずらっと22曲。
でもって、異常です。ジャケの格好良さも半端ないですが、名曲、名演というのはこんなに簡単に生まれるのかと恐ろしくなる。"Heartbreak Hotel"に始まり、"Hound Dog"、カール・パーキンスやリトル・リチャ−ドの曲のカバーも挟んだりしてますが、要するにこの人が歌ってれば、あとは何も要らん。
シングル単位で聞いても分からない、ある一瞬の瞬間最大風速を感じられる。これを聞いてると、まるで台風のなかにいるみたい。
バラードだろうが、ロカビリーだろうが、要するに全部ロックンロール。で、それはジャンルじゃないの。
これは狂う。そして、これが分からないオトナがわんさかいたのも分かるかもしれない。だって、これは頭で考えて、ああだこうだ、じゃないから。感覚っていうものは未来には優しいが、過去には冷たすぎるかもしれない。なのに、いつだって「今」しかないんだから、感覚の麻痺だけはしたくない。
あと、そう考えると、これが当たり前になった後に私は生まれてきたんだなとも思う。時代の本当の姿は想像を超えてる。エルヴィスを知らない人でも、これが世界を変えた後の時代に生まれて、そこに暮らしているのだし。
そういう意味じゃ、これはビッグバンみたいなものかな。この声と歌、本当に音楽って凄い。