永遠なれ、喫茶店

julien2005-01-13

神保町の茶房・李白が移転したなんてまったく知りませんでした。
今でも記憶に残るのは、前に書いたように2階席へ上がれた時のことで、谷崎潤一郎の陰翳礼讃の世界がそのまま現れたような、あの美しい場所は、いまでも思い描けるくらいに記憶に鮮明です。けれど、あの光も、あの空気も、もう何処にも無くなってしまったんですね。
移転でどれくらいあの世界が再現されたとしても、もうあの世界が無いのは同じことですね。
有楽町にあった「日比谷」といい、また一つ大切な場所が消えてしまいました。
街中に氾濫するカフェかふぇCafe地獄の陰で、喫茶店はどんどん消えてしまう。
茶店がこの国の景色へと溶け込むために、一体どれくらい時間がかかったかは知りません。でも、明治に生まれ、大正ロマネスクを経由して、モボやモガたちが、多くの学生たちが賑わしたその場所、静かに街の一部となっていったそれらはこうして消えて行き、資本だけで生み出されるセンスの無いカフェーが溢れていく。この国は、きっと物凄く鈍感な神経がめぐっているのでしょう。
思うのは、もし銀座のあの店が無くなったら、私にとっての東京は少しだけ姿を変えてしまうでしょう。永遠なれ、パウリスタ
それにしても、不思議なくらい記憶に光を感じるのは、あの場所と、そしてあの人のせいなのでしょうか。


あ、ただカフェといっても全部が全部ダメなわけじゃないし、実際に週5回はどこかしらのカフェでチェリー吸いながら、勉強してたりする。池袋にいる時は、イルムス館のストロイエか、三越奥のカフェ・ド・クリエで、本当はセガフレード・ザネッティ赤と黒の色調が好きなんだけど、東京辺境にはないので。まあ、安さですよね。結局はそこに負けてしまう。
ただ、やっぱり喫茶店の雰囲気が大好き。個人的に気に入っているのは、雨の日に新宿の但馬屋に行くこと。雨・雪の日限定のサービスカードがあるんです。特に意味はないのですけど、なんとなく嬉しくなる。雨の日を特別に感じるのは、子供の頃だけだから。
最近は生活リズムが単調で、2,3日前のように激しく落ち込むようなことは稀としても、それでも気分転換に喫茶店巡りをしたくなる。神保町、駿河台、西神田あたりには、レトロで素敵なお店がまだいくつか残っているのです。そんな風に、ひっそりと残る東京が、私は大好きなんです。


ちなみに画像は、私が愛用しているマグカップです。ウェッジウッドのフロレンティーン・ターコイズ。たっぷり入るので、夜はウィスキーかブランデーを少し(実は多めに)混ぜて珈琲を飲んでいます。寸胴型で可愛いのです。でも、中身はマキシム(笑)あ、好きなんですよ、マキシム。
ちょっと思ったのですが、こうやって部屋にある小物を画像にしていくのって、意外と楽しいですね。しばらく続けてみようと思います。