闇のなかで話し声が聞こえる。
私の一部になったあいつは「問題ないんだ、それを活用しろよ」と呟く。
だが、空に輝く星は都会に消されて見えやしない。
「見えるわけないさ。見えたところで、お前には手が届きはしないんだ」
手を伸ばして飛び跳ねることなどずっと昔に辞めている。怪我をしたことは傷口を見なけりゃ思い出したりもしない。
身体に引かれたラインは知らない世界へと続いている。
気付いたのはずっと後のことだった。


今では何もかもが衝撃を吸収する。
そして、もてあまされた身体は成長を辞め、無数の声を内包する。
私は日を浴びすぎて赤くなった流れに飛び込む。けれど、流れは水しぶき一つ上げず、ただ迷路のように循環する。
熱を帯びた夜は無駄な放熱を放棄し、閉じられた頁のなかへと消える。