再開

視界から消えたオフィーリアは、いつしか記憶の闇へと沈んでしまう。どこまでも流されていくオフィーリア。
ハムレットは待ち受ける運命を予感している。そして、客席ではだれもがそれを知っている。
すると、一人の男が客席から立ち上がり、舞台へと上がっていく。彼は静かに口を開いた・・・

「私はそれを眺めていたはずなのに、気付けば舞台の上にいる。。私こそがハムレットだったのだろうか。しかし、運命の二者択一を迫られても、私はその選択自体を放棄することにしよう。」
「生きるとか死ぬとかではなく、私がするべきなのは探すことだ。」
「彼女は死んではいない。長い眠りについたわけでもない。彼女は私、私が彼女だ。」

彼はそう言うと、自分自身を抱きしめようとする。
しかし、客席は沈黙したままだった。私には誰の呟きも聞こえてこない。しかし、一組の男女の姿が遠景におぼろげに見える。  
・・・・
無数の鼓動に、また一つの鼓動が加わったようだ。そして理性は暴走を止める。