Dress

P J Harveyの曲名から。

私の中に入ってきて
でも、綺麗なドレスを破かないで

自分では普通だと思っているのですが、周囲に言わせると自分のファッションは目立つし浮くそうです。
昔のことですが、ある講義で「ファッション」について発表しました。内容は「団塊の世代と我々の世代」を比較するもので、私は山本耀司とリミ・フゥのデザイナーをしている娘さんを比較することで、このテーマを掘り下げたのですが、なぜか、そこで自分のファッションに関する質問を受けました。
そこで私が答えたのは「怖いから」。そして「普通の、なんの個性も無い服装で街を歩くと、世界に飲み込まれそうに感じる」と確か続けたように記憶しています。特に、原宿や渋谷を歩く時に、この恐怖は最大になります。街のなかの一風景にしか自分がならなくなるのが本当に怖い。
私はナンバーガールの「透明少女」のように嘘っぽく笑うことができない。それは綺麗なものだと思うけれど、私は自分のなかに世界が入り込んでくる、あの感覚が恐くてたまらない。
私にとっては、服は鎧だし、世界と自分との間のATフィールドなのかもしれない。指にはめているアーマーリングなんかは、その象徴に過ぎません。
たぶん流行に敏感な子達は、世界に溶け込ませるために、美しく調和するために服を選ぶのだとしたら、私は異物になるために、ノイズになるために服を着る。私の爪が比較的長いのは、「9インチの爪」で世界をひっかいてやるためだ。
でも、そんな私にも、誰かの感情が入ってくる時は不思議な感覚に支配されてしまう。私は誰かと一緒にいるのがすごく好きだ。その人のハートを感じることができる時はとても幸せな気持ちになる。そんな時、私の服はどこか破れているのかもしれない。そんな風に無防備でいられる時、私は世界のなかでどんな風に写っているんだろう。