The Kinks / Kinks (1964)

julien2004-05-23


ベタな一枚。かっこよすぎなジャケと"You Really Got Me"で永遠に無くならそうなキンクスの記念すべき1st。
よく言われる3大ロックバンド(The Rolling Stones,The Who,The Kinks)のなかでは物凄く地味な印象なんですが、たぶん音とは関係ない存在感のせいだと思います。ロックンローラーはスキャンダラスな存在である、みたいな法則があるなら、キンクスは間違いなくロックンローラーじゃないですね。そんなわけないんですが。
ただこの1stを聴いても、カミソリのごとき"You Really Got Me"が浮いてみえるくらい他の曲はポップで柔らかい印象が強いです。彼らはハーマンズとは違ってバリバリのモッズなのに(少なくとも当時の扱いでは)、全然黒くないし、ストーンズやスモール・フェイセスと比べても喧嘩弱そうだし、何よりリズムが弱い。それは悪い意味じゃなくて、下手っていうより、意図的にポップに丸くしてる感じがするってことです。
そうかといってビートルズホリーズ、トレメローズやプリティ・シングスと比べると、やっぱりモッズなんですよね。話によると彼らはモッズの格好をしていたというより、させられていたって方が正しいようですし、”チンピラ”って意味らしい「キンクス」っていうグループ名も大嫌いだったらしい。
となると、初期のキンクスは凄まじく才能があるのに自分のやりたいことをやれなかったバンドってことなんでしょうか。それがこの「半端」な感じに繋がっているのかもしれません。とにかく"You Really〜"はアルバムの中では相当に違和感あります。実際にはこういう路線の曲って少ないですし。
まあ、個人的にはこの宙吊りな感じが最高に好きなんですけどね。
キンクスの特徴にもなってるさりげない日常を切り取ったような歌詞も、こうした自分と周囲との違和感が生んでるのかもしれません。永遠に取り残された〜Forever Delayedって意味じゃ、マニックスの先人ってとこかも。ちなみに、この言葉は僕の座右の銘にもなってます。
ASIN:B00005NHNX

というわけで(何?)、しばらくは持ってる範囲で「取り残された」音楽でも紹介することにします。