Echo & the Bunnymen / Heaven Up Here (1981)

julien2004-05-01


去年からリマスター再発が行われているエコー&ザ・バニーメン(通称バニーズ)。
70年代終わり頃にリヴァプールのクラブ「エリックス」を中心にして、新しいサイケデリックな雰囲気を持ったバンドが数多く登場してきます。特にクルーシャル・スリー(未聴)は、後のThe Teardrop ExplodesのJulian Cope、Wah!のPete Wilie、そしてバニーズのIan McCullochが在籍してたこともあって伝説のバンドとされています。(細かいことを言えば、イアンはジュリアン・コープとエクスプローズを作った初期メンバーでした。脱退後に作ったのがバニーズ)
なんでビートルズを産み出したリヴァプールから、こんなサイケな音が出てくるのかには興味があるんですけど、音の雰囲気ではなくメロディに注目すれば、確実に彼らはビートルズの子供たちだと言えると思う。後にラーズへと繋がっていく系譜が見えるんです。
バニーズの特徴は、研ぎ澄まされた美しいメロディと、急ぎ足なロックンロール・ビート、冷たいエレキ・ギターの響き、そこにジム・モリスンの再来と言われたイアン・マカロックの憂いを帯びたボーカルが合わさることで産み出される、張り詰めた空気が支配する緊張感溢れたロマンチック・サイケデリックサウンドにあります。
ポスト・パンク期に登場し、やがてU2マイブラを産み出すこの潮流をネオ・サイケデリックと呼ぶそうですが、バニーズこそがそれを確立させた存在。この憂鬱でありながら勢いがあって、透徹な魂の叫びとしか言いようがない作品群は、比較するものがあまりないです。The Cureモノクロームな作品とは違って、ずっとカラフル。ただ水晶のように透き通り、鋭利に尖っているんです。私はめちゃくちゃ好きですね、このバンドの雰囲気は。
音を完全に表現した美しいジャケットといい、文字通りにこの時代を代表するアーティストなのではないでしょうか。

U2のように世界的なバンドになってもおかしくなかったのに、イアンの脱退、天才ドラマーのピート・デ・フレイタスの事故死を受けて失速。実は7,8年前にイアンの復帰で再結成し、いまでもアルバムを出しています。緊張感はさすがに薄れた感じですが、前と変わらないサイケな雰囲気は健在。


ちなみに私は、例によって中古盤を500円で買ったので、リマスターされたサウンドを聞いてみたくてしょうがない。ボーナストラックも大量に追加されてて買おうかどうか迷ってますが、リマスターものは妙に高めな値段が付けられてて、新たなファンの獲得には繋がらない気がするんですけどね。素晴らしい作品が最高の音質で甦ってるんだから、聞かなきゃ人生勿体無いよ、とか思いながら、こっちもそんなにお金あるわけじゃないし、新譜だって良いものがたくさん出てるわけだからそっちも買いたいし、レコード会社側には、そういった若者の状況を考えていただきたいんですが。再発はせめて1500円で!

  • Favorite Tracks

M1: Show of Strength , M2: With a Hip , M3: Over the Wall , M6: Heaven Up Here , M8: All My Colors
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