バカの包囲網

親友の後輩が登校拒否になってしまって、彼は色々と悩んでいます。
話を聞くと、まるでその後輩は昔の自分のようで、私も人事のようには思えなくなってしまいました。
「学校行く意味が分からない」「勉強する意味を周りに聞いても、誰も答えられない」
そして、彼自身は勉強もできるし、だからこそ余計に虚しくなるんでしょう。本当に昔の自分みたいだ。。

私の話をすれば、途中から「周りはバカだ」と思うことにしました。勿論、今はそんなふうには思ってません。ただ、まだ高校(特に進学校)のような場所で拘束されていて、周りと自分の距離感をはっきりとは掴めないでいるような時期に、そういう虚しさから自分を守るには、「普通」の子として周りに合わせられない以上、自分と周りの距離を無理矢理にでも作るしかないと思う。周りのことを、もっと優しく、冷静に見るのはその後でもできることだから。
周りとの距離を作るためにはいくつかの方法があって、一つは「自分はバカだ」と思い、「周囲が正しい」と思うこと。でも、これは全然自信には繋がらない。特に、勉強面では思おうたって勉強出来る以上、無理です。二つ目は「自分は偉い」と思うこと。でも、そんながさつな神経を持っているようなら、そもそも、こんな悩みを持つわけがないので、これは論外。そして、もう一つが「周りをバカ」だと思うこと。これはけして「自分は偉い」とは結びつかない。「自分もバカだけど、周りはもっとバカ」っていう程度で、でも、こう考えるだけで、周囲から浮いてしまう自分を最低のレベルでは守れる。
どうせ、大人になれば、みんな自分でしかいられなくなるんです。周りに自分を溶け込ませることが出来る人には、こんなことは必要ないけど、出来ない人には死活問題なんです。
この「周りはバカ」って考え方は、私はサリンジャーから教えてもらいました。この解釈が正しいかどうかなんて知りませんが、ホールデンは自分をどこかでバカだと思いながら、周りの行動にも首を傾げてばかりいる。そして、自分にとって大切なものを本当に守ろうとする。ホールデンは高校生だし、悩んでる彼も当時の私も高校生でしたが、ずっとそれでもいいんじゃないでしょうか。


進学校は勉強できる連中ばかりでしたが、とにかくバカが多かった。勿論、どっちも尊敬できるような人もいました。仲が良かった友人の一人は経済産業省の役人になりましたが、彼だったら何処行っても問題ないでしょう。まあ、役人になんてならなくても・・とは思いましたが。でも、それはあくまで例外。保守的というか、環境によって作られた関係性のなかで、自分を肯定できるんだから、たいしたもんだと思った。そして、俺は付いていけないと同じくらいに思った。あんな環境で楽しく過ごせるなんて不可能です。おまけに男子校。校内には参考書抱えた野暮な男がウジャウジャ。普通の感覚だったら、外で女の子と遊ぶよね。で、私はそっちを実行した、と(笑)それに、将来を決めるためなら、その後でだって遅くないし。「でも、学歴は大きいじゃん」って確かにその通りですけど、実際はそうでもないと思う。少なくとも、自分で掴む力が無いのに、学歴だけあったってどうぢょもない、ってことです。実際にもそういう世間の価値観がぐらついてきた頃でしたし、ベタな言い方ですが、自分の幸せは別の問題で、少なくとも自分で掴む幸せには無関係だと思った。自分で何かを掴む力には、関係ないですよね。そういう力は、色んな場所から学んでいくものですし。まあ、与えられる幸せには重要かもしれないですけどね。
とにかく高校生活の記憶が勉強だけ、なんて私には嫌でした。思い出しただけで吐きそう。で、何が言いたいかといえば、自分に子供ができても進学校には行かせないっていう、ただそれだけなんですが(笑)、現在、同じように嫌気がさしてる子がいるんだから、やっぱり人事とは思えないです、私は。