Franz Ferdinand / Franz Ferdinand (2004)

julien2004-02-21


昨日買ったばかりなのに、もうヘビロテ状態。たぶん、他にもこういう人はいるはず。これはかなりクセになる音だ。
おそらく現在よりも人気が出るのは間違いないので、少し早めに自分の感想をまとめておこうと思う。
私はこの音がなんなのだろうかを考えていて、ネットで情報集めてみたが、この音についての分析は大体私のと同じようなもの。だが、それ以外のコメントがない。音についても書くが、とりあえず気付いた点を2つほど。
まず、グループ名の謎。フランツ・フェルディナンドって言えば、世界史にちょっとでも知識あればすぐにピーンとくる。ハンガリーオーストリア帝国の皇太子で、セルビアの青年により暗殺された男。その死がバルカンの火薬庫に火を付け、世界中を初の世界大戦に巻き込むきっかけになった男。それにしても、なぜフランツ・フェルディナンド?自分たちが「革命」の火付け役になろうと言うのだろうか?20世紀は1914年に始まったと私なんかは考えてますが、となると、フランツの死こそ、20世紀の、その出発点であったともいえる。
次に、ジャケットワーク。英語のオフィシャルサイトを見ても、彼らはアートに関わりがあるようだが、このジャケット、またはオフィシャルのデザイン、これらは美術に関心があれば、すぐに分かるんだけど、バウハウスロシア・フォルマリズム系の構成主義的デザイン。「モダン」なるものの典型といえるもの。
あと、インナーに使われているタイポグラフィ。そしてメンバー写真。そこから感じるのは、現在じゃない。
間違いない。これは、明確に「モダン」なる概念を確信犯的に主張しているのが明らかだ。

そう思いながら音を聞いていく。昨日書いた印象通り、The StrokesThe Raptureからの影響は否定できないと思う。ただ、印象がまるで違う。ディスコパンク風な音ではあるけど、リズムがもっとひねくれてる。この辺りには、彼らの基礎になっているのはNew Waveだと思わせる。実際にこの点は、多くの人がすでに指摘していることでもあるが、自分が気付いた限りは、彼らはWireThe Cureらを聞き込んでいるんじゃないだろうか。TelevisionやJoy DivisionRadiohead的なものも感じるのだけど。
あと注目する点は、彼らがスコットランド出身ということ。The PatelsやThe Vaselinesとの繋がりがあるように感じる。でも、それは直接的なものではなく、ひねくれた感性というか、そういう面で近いものを感じる。そういう意味じゃ、音は似てるのに、印象がストロークスと全然違うことの説明にもなるはずだ。むしろ、アメリカ勢ならThe Carsに近い印象を受ける。このひねくれ方は半端じゃない。
ストロークスは、モダンで懐かしい感じがするのに、決定的に新しいとよく言われる。まったく同じことが、彼らにも言えると思う。間違いなく、彼らは今年の目玉になりうる超新星であろう。モダンであることが決定的に新しいということ。時代は、もはや新しさを追い求めることからではなく、過去の斬新な解釈から生まれるのだ。

謎が一つ。彼らは現在UKで話題の中心にいるそうだが、おそらくそれにはプロデューサーの存在が大きいように思う。その名はTore Johansson。そう、あのカーディガンズらスウェディッシュポップの代名詞的存在の彼だ。なぜ、彼?音的に全然違う。クレジット見てほんとに驚いた。聞くだけじゃ、分かるわけない。
ASIN:B0001ENYKS