Book@LIBRO

1はバシュラールのエッセー集。タイトルに惹かれて買ってしまいました。ナンシーを読みながら、時々読もうかなって。

最近、あまり詩を読みません。特に日本の現代詩は読んでるのが辛いです。つなわたりでロープの上を渡るようで、選んで選びぬかなければ詩が生まれないっていう現状も恐ろしいです。詩人の方々の苦悩は分かりますけれど。
でも、八十がいた頃もいい時代だったとは思えません。北原白秋や野口雨情らと共に、彼が童謡を作り出した気持ちの背後には、暗い時代への反発がありました。
「かなりや」を読んでみれば分かるけれど、あれは単なる子供向けの歌なんかじゃない。
私はそういう彼らの心を知りたくなりました。

唄を忘れた金糸雀は、後の山に棄てましよか。
いえ、いえ、それはなりませぬ


唄を忘れた金糸雀は、背戸の小藪に埋けましよか。
いえ、いえ、それもなりませぬ


唄を忘れた金糸雀は、柳の鞭でぶちましよか。
いえ、いえ、それはかはいさう。


唄を忘れた金糸雀は、
象牙の船に、銀の櫂、
月夜の海に浮べれば、
忘れた唄をおもひだす。

西條八十 「かなりや」