川辺のオフィーリア
彼は感情の問題に取り付かれている・・
彼女を理解するのに、そうするのが相応しいように考えている。
感情は不思議なもので、それは脳の発達と関係しているようだ。
原始生物にも快と不快の二つの感情はあるという。
進化の過程で脳は大きくなり、それとリンクして、私たちは多様な感情を持つようになった。
でも、彼女は快・不快のどちらでもあるようであり、感情を説明しようとする私たちの理解から、逃れようとしているように感じる。彼女はいつもとても深いところにいるように感じる。だから、私には彼女を捕まえることはできない。
だが、もし本当にそうならば、私たちは遥か昔から彼女と一緒にいるのかもしれない。
そして、私たちが彼女を理解しようとすることを、ずっと嫌がってきたのだろうか。
そうなのかもしれない。
彼と彼女は、はるか昔に引き裂かれてしまった恋人であって、そして、それは彼の犯した過ちが原因であり、彼の悩みは罪に与えられた罰なのだ。
彼は彼女を理解しようとする。
でも、それが彼女の望んでいることじゃないとしたら、それこそ彼は自分の犯した過ちさえ、いまだに分かっていない。
それなのに、彼はまだ彼女を理解しようとしている。
彼女の愛を失って、でも、気付かずに手を伸ばしている。
彼女を理解することに囚われて、愛することを忘れてしまったのに。
それでも、私は願ってしまう。
あの瞬間で時間が止まり、死にゆくオフィーリアがいつまでもハムレットを待っていてくれるようにと。
「彼は二度とは戻らない。」
いいえ、オフィーリア、そうじゃない。そうじゃないよ。
本当の私はいつだってあなたを愛していた。
だから、できるなら私はあなたのもとへと戻りたいのだ。
いつだって、もし、あなたが私の罪を許し、こんな私を受け入れてくれるのなら、私はいつだって、あなたのもとへと帰るだろう。
でも、ああ、オフィーリア・・・なぜ、あなたはどこにもいない・・・