池袋

自分は東京の練馬区という場所に住んでいます。この区には電車が4本通っているのですが、その内の主要な2本・西武池袋線西武新宿線が東西に走っているため、これによって南北に分かれているとも言えます。路線名でも分かるんですが、前者は池袋、後者は新宿に出ます。自分は池袋線沿線なんですが、そのせいか新宿線沿線の駅は一部を除くとそこまで親しみがありません。このような意味でも、練馬区は南北に分断されているのです。
ただ、練馬区にはこれといった名所はありません。ガイド本に乗りそうな街もありません。江古田という街は、ちょっと変わっていて、大学がいくつかあったり、つわものが集結するゲーセンがあったりとサブカル色の濃い街ですが、とてもじゃないけど観光地とは呼びがたい。施設では、豊島園という遊園地もありますが、まあ、それくらい。後は徹底的に住宅地と言えます。
この結果どうなるか。練馬区民で遊びを求める人は、都市部へと出て行きます。

新宿線の事情は知らないので語れませんが、池袋線沿線の場合、まず池袋が中心です。

ただ、ここで面白いのは、埼玉県の所沢という場所があって、これも池袋線沿線なのですが、ここがそれなりに大きな駅だったりする。しかし、自分は一回も行ったことがありません。そして、自分がいる場所と、この所沢との距離の差が、人の活動範囲を決めたりするんですね。
僕の最寄り駅から池袋までは15分。そして、JRを使って渋谷までも40分足らず。こうなってくると、別に池袋に限定する必要がなくなってきます。
しかし、所沢から渋谷は1時間では着かない。
もう一つ。池袋には私鉄が二本あります。西武池袋線と、埼玉から板橋区を通過して池袋へと結ぶ東武東上線です。また、埼玉からはJR埼京線も通ります。
こうなると見えてくるのは、池袋というのは、東京の北の前線都市であり、埼玉からの流れが極めて多い街なのです。

僕は小学生の頃から池袋に入り浸っていたので、当然のようにこの街には特別な馴れ合いのようなものがあります。けれど、愛着が沸くかというとそうでもないんですね。
池袋、新宿、渋谷はJR山手線の左側、ちょうど南北に引かれた直線上に位置していて、所要時間が約20分の距離にあります。3大タウンなんぞと呼ばれ、引き合いに出されることの多い街ですが、この中では、新宿が若者の街とは言いがたい場所なので外すと、池袋と渋谷は割りと比較されやすかったりします。
でもね、全然違うんですよ。これは池袋の地形上の問題もありますね。
この3つの街のなかで唯一ガードが無いのが池袋です。そのため、池袋は線路によってはっきり東西に分かれています。これは、西武、東武という二つの百貨店の本店が分かれていることとも無縁じゃなくて、利用する路線で通う百貨店も変わってきたりするのですが、この東西も、一言で言えば、とにかく雑然と散在してるのが池袋の特徴です。要するに、東西の移動がものすごく面倒なんです。
例えば、池袋におけるファッションの中心は、二つの百貨店に丸井、パルコ、サンシャインなのですが、これらを移動するのはかなり面倒です。青山や表参道、銀座は勿論、渋谷や新宿と比較しても、とにかく人の流れに合っていない。


東の中心はやはりサンシャインシティ周辺で、サンシャイン通りはどこか渋谷のセンター街に近いものがある。女子高生が群れるのもこの地域です。
これに対して西は、中心が不明で、某ドラマで有名になった公園は駅から徒歩2分の場所にありますが、これが中心にあるわけじゃないんですね。文化劇場という藝術施設の前にあるのがこの公園。ただし、人の流れからは微妙にずれています。むしろ、歌舞伎町を小さくしたような歓楽街がメインなのであって、西のまとまりの悪さは東とは色合いが違うのです。


池袋で有名なものといえば、サンシャイン、ビックカメラ本店、ジュンク堂、乱立するラーメン屋、あとはアニメイトの本店もありますね。
これだけ見ても、統一感の無さが明白です。だから、これらが余計に点在する。
書いていても、よく分からないんですが、とにかく池袋は人の流れに沿って街が存在していない。駅を中心に拡散していくのがこの街です。