julien2008-03-02

0009 France Gall "Poupee De Cire, Poupee De Son" (1965)

邦題 ”夢見るシャンソン人形”。歌手名との一致はともかく、この曲を知らない人などまずいないのではないかと思えるほどの有名曲であり、ポップミュージック永遠の名曲だと僕は思う。「フレンチポップ」の代表曲、フランス版ロックンロール”イェイェ”を象徴する曲、アイドルポップスを代表する曲、といろんなところで語られる曲でもある。
作者はセルジュ・ゲンスブール。イントロからサビにいたるまで、聞く人にインパクトを残さずにはいられない恐るべき名曲、こんな曲をもらえたらアイドルとしての成功間違いなしである。
しかし、実は歌詞はかなり強烈に皮肉が効いていて、夢見る人形という邦題はなんとも可愛らしいが、原題を直訳すれば、「ロウで出来た人形、糠で出来た人形」である。つまり、アイドルである私は、実際はロウや糠でできた人形にすぎず、恋の歌なんぞ歌っているが、実際は恋もしたことがないただのお人形です、という歌。こんな歌を、実際にもまだ歳若きフランス・ギャルに歌わせるゲンスブールは恐るべしである。どこか客観的に物事を捉え、そこで皮肉な笑いをいれる、要するにフランスのエスプリであって、意地悪なわけでもなんでもないんだが、聞き手の妄想を煽るだけの日本の現在のアイドル(いるのかどうかも不明だが)を百万光年突き放す感じである。
個人的には、アイドルポップスというのは絶対に必要である、むしろアイドルポップスを聞くことで、その時代のポップス全体の水準がわかるという立場なので、特に最近のJポップは淋しいです、ジャニーズは立派ですが、女性アイドルはどこにいるのだ、という感じで。実はいるんでしょうが、人気がないアイドルというものほど淋しいものもなく(偶像という意味でのアイドルにもなってない)、このような曲を生み出し得ない。
なお、下にリンクした動画では、出だし、途中と、彼女は音を外しまくってます。が、なんか勢いありますね。売れまくっている時期のひとつの記録ですかね。本人は、これほどまでの名曲になるとは(まして動画がこんなとこに貼られるなんて)思ってもいなかったでしょうが。